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The beginning of new challenge

太陽光パネル

温暖化ガスの排出目標方針を政府が打ち出した内容について、小泉進次郎環境相は、先日のインタビューにこう答えています。
「住宅やビルに設置の義務づけを考えるべきだ」
これは太陽光発電が、目標の達成に欠かせないとした上での発言でした。
その背景には、米国カリフォルニア州などが、住宅への設置を義務づけている事があります。

しかし、日本の場合、台風と地震の多い事、四季があり日照時間に大きな差がある事を考えると、この発想は短楽的ではないかと考えます。
太陽光パネルの普及に反対しているのではなく、解決すべき事が多いと思うのです。
太陽光パネル設置の義務化が決定すれば、速やかに設置せざるを得なくなります。
義務化の前に、技術的・経済的・政治的に改善しておきたいことがあります。

いくつかの項目に分けて見ていきます。

①太陽光パネルは製造時にCO2を排出します。
それを無くすために、製造時の発電も太陽光発電にするという考え方があります。
これをカーボンニュートラルと言います。
この製造時には、原料の採掘・精製、製造工場、運搬の3つが含まれます。
各現場でCo2ゼロを目指すのですが、それぞれ業種が違っており、そこで使われる採掘重機・工場機械・トラックや船などの製造時においてもCo2削減をしなければなりません。

エネルギー変換効率の大幅な改善。
現在、研究が進められていますが、水力や風力発電に比べ低く、20%に留まっています。
材料にシリコンを使っているのですが、理論的には限界値まで上がってきました。
しかし、シリコンに替わる材料で、水力発電並みの80%にする事を期待したい。

③耐用年数の改善。
今は30年の耐用年数がありますが、30年後に大量のゴミが出る事を考えると、改善すべきだと思います。
考える視点として3つあります。
1. 耐用年数そのものを伸ばす。
2. 定期的なメンテナンスをする事で寿命を伸ばす。
3. 廃棄時に、100%リサイクルが出来るような設計にしておく。

④太陽光パネルの製造・販売・設置・メンテナンス・撤去・リサイクルに関わる業界は多く、設置を義務化する前に、業界間にまたがる法の整備が必要と思われます。
製造時に、メンテナンスや撤去・リサイクルの事を考慮に入れた設計を義務づける事や、業界間の連携がとりやすい仕組みを構築する事です。

設置コストの大幅削減。
これには、実際の太陽光パネルの設置費用と、それを回収できるまでの期間について、把握しておく必要があります。
屋根の面積や太陽光パネルメーカーにより多少ばらつきはありますが、概ねこうなります。
5Kw用設備で、初期費用が150万~200万円超かかります。
その初期費用を回収するまでの期間は、8年~9年超だそうです。
しかし、義務化されれば、売電価格も42円から大きく下がり、初期費用の回収が遅くなってしまいます。
従って、初期費用の大幅な削減と売電価格の見直しが必要となります。

そして、台風・地震・四季と言ったことを踏まえ、設置場所や強度を考える必要性があります。

この様に課題は多く、経済界だけではなく、政治的に改革を進めるべき事も多いと思います。
近年、温暖化によるものと思われる災害が増えていることを見ても、地球は待ってはくれないことは明らかです。

昨年からのコロナの対応で、世界の医療・経済界・政治家たちが、今までにない決断をし、急速に動き対応しています。

温暖化の脅威は、コロナ感染者の数値のように毎日目にすることはありません。
でも、確実にその驚異は増していっています。
ですから、すべての課題が解決するまで待てるはずもありません。

国を挙げて解決に向かうべきであり、今回のコロナの対応のように、全力で取り組むべき問題だと感じます。

温暖化問題をマスコミが報じているのを、コロナの100分の1も目にしません。
政治家やマスコミは、問題意識の優先順位が低いように思われます。
真っ先にすべきは、政治家の意識改革と政治の仕組みを変えることかも知れません。


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テーマの著者 Anders Norén