地球上でウイルスはどうやって出現したのか。
2020年11月22日の日本経済新聞より抜粋
約40億年前の地球は小さな物質があるだけのモノに満ちた世界だった。
そのモノが「非生命体」から、遺伝を複製する「生命」へと一線を越えた。
その瞬間を目撃した研究者がいる。
試験管の中、モノに過ぎなかった物質が寄生体へと驚きの進化を遂げた。
小さな水滴にいくつかの物質が漂う。
摂氏37度に加熱すると、物質の一つが周りの成分を引き寄せて自分の複製を作り始めた。
時々、複製のミスが生じ、「出来損ない」が生まれた。
どこかが壊れたのか複製できなくなっていた。
消えてなくなると思いきや、しぶとく他の物質の複製反応を借りて数を増やした。
まるで寄生体だ。
「この寄生するタイプが今のウイルスに進化したのではないか」。
東京大学の市橋伯一教授はさらに実験の行方を見守った。
今度は寄生型の動きを阻む物質が現れた。
しばらくすると、その物質にさえ寄生出来る新たな寄生型が登場し、イタチごっこで進化を続けた。
300世代以上の世代交代を繰り返した今も、寄生する側と寄生される側が試験管の中で攻防を続けている。
物質の1つは、現在のウイルスが使う遺伝物質「RNA(リボ核酸)」だ。
寄生型が現在のウイルスに進化し、寄生される側が今の生物に変わったと考えている。
おそらく生命は後にDNAを作り出し、遺伝情報を正確に子孫へ伝えて体や心を複雑に制御出来るようになったとみる。
単なる物質が生命に変わるメカニズムが目視できた実験だが、皆さんはこの生の誕生の瞬間をどう思われますか?
物質の一つが周りの成分を引き寄せて自分の複製を作り始めた。
この一文がまさに生命の誕生ということになるようです。
つまり、モノが繁殖したわけです。
通常、「非生命体(モノ)は繁殖しないが、生命体は繁殖する」というのが、私たちの認識だと思います。
この実験のすごいのは、生命の誕生を再現できたことです。
つまり、モノから生命を生み出すことに成功したわけです。
この研究が今後進んでいくと、今のAIロボットが、人間のように自己繁殖する日が来るのではないかと思います。
この実験記事を読んでいると、生命の誕生の再現に感動すら覚えましたが、考えているうちに、ぞくっとしてきました。