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The beginning of new challenge

ホーソン効果

最初に、
1924~32年まで行われた一連の実験と調査があります。
労働者の作業能率について、どんな要因が関係しているのかを調べたものです。
全米学術協会主導のもと、アメリカのホーソン工場で行われたため、「ホーソン実験」と呼ばれています。

この実験の結果をめぐっては、様々な解釈があるものの、この結果から得られたホーソン効果を、今の時代に応用しうまく取り入れている日本企業の事例をほんの少しだけですが紹介させていただきます。

実験の詳細はこちら↓
https://kyotogakuen.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1062&item_no=1&page_id=13&block_id=21
その大もとはこちら↓
Roethlisberger, F.J. & Dickson, W.J. の Management and the Worker (1939)

その前にまず、ホーソン実験の結果から導ける要点を、ざっくり見てみます。

・休憩時間を導入することで生産性は上がるのか?

結果:生産性は上がるものの、個人差がある。
しかし、最終的には下降し、明確な向上の確認は見られなかった。

・個別出来高制により生産性は上がるのか?

結果:一時的にはかなり生産性が上がるものの、長期的な生産量は変わらない。
他の要因との強い依存関係にあり、出来高制(奨励給)のみでは、モチベーションや生産性の向上には寄与しない。

・物理的な作業環境(条件)を良くすることで、作業効率は上がるのか?

結果:検査・組立などどの部門においても、作業条件を変えようとも、一時的な変化はみられるものの、作業効率との関連性は明確とは言えない。

これらのことから、
生産性の向上は、何が原因であるかという事を決定することは、無益だと言えます。
それは、いくつかの要因が相互に関係するからです。
要因とは、
「個人の体調・経歴・関心・職場の条件・干渉・抑圧・外部の社会的状況」

しかし実験では、人は、注目され、期待されていることで努力をするようになるという事がわかっています。
そこでは、見られている・観察されているという意識が働き、一定の緊張感が働きます。

【ホーソン効果を企業に取り入れている具体例】

【東京ディズニーランド】

「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」というキャスト同士の相互のメッセージ交換、報奨制度を設けています。

キャスト同士でお互いの素晴らしい行動、パフォーマンス、姿勢などをたたえ合い、頑張っているキャストにメッセージを送ります。

それをもとに、『スピリット・アワード』で受賞者が選考され、選ばれた方々にスピリット・アワードピンが授与されます。

今度は、「ピアボーナス」というシステムを導入している企業を見てみます。

ピアボーナスにはいくつもの種類がありますが、主に電子チップのような形で、会社内でのちょっとしたお礼や感謝を渡すことができるシステムです。

【メルカリ】

Uniposというピアボーナスを導入しています。

メルカリ内の各拠点のスタッフが、お互いに激励・賞賛を伝えるツールとして使われています。
これにより、スタッフの仕事ぶりやそれぞれの考え方が可視化され、目の行き届いた管理ができるようになっています。
離れているスタッフ間の、関係強化にも貢献しています。

【個人の仕事に活かしてみよう】

一人で作業していると誰にも注目されていません。

なので、机の上か壁に鏡を設置します。

もう一つの方法は、誰か人のいる、しかも静かな場所で、作業することです。

ネット環境が許せるのであれば、ZOOMやSKYPEをつなぎながら、見られていることを意識して、作業するのも有効です。
親しすぎる人とは、おしゃべりが始まるので、逆効果です。

テレワークで自宅勤務の人は、試してみてください。

編集後記

生産コストを下げるためや、お客様の短納期に応えるために、生産効率を上げる試みをしていたことがあります。

工場内の整理整頓・掃除など、基本的なことはもちろん、安全性・自動化の試みなどです。

しかし、今になって重要なことに気付きます。

それは、人間関係です。
この実験でも明らかになっていますが、生産性向上のポイントは、人間そのものの気持ちに関係しているようです。

分かってはいるものの、その重要性をもっと認識し、具体的に実践していくべきだと反省しています。

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テーマの著者 Anders Norén