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有機野菜について

有機野菜を普段買われますか?

私は一時期、有機野菜(オーガニック野菜)を買っていたこともありましたが、値段も高く、限られた野菜しか売られていないので、今はほとんど買いません。
しかしながら、体には良さそうなイメージを持っています。


先日、スーパーで “大葉” が並べられてあったのですが、有機とそうでないものがありました。

しかも、同じ値段なのです!

枚数が違うのかどうか、袋の上からよく見比べたのですが、同じように思えました。

「有機野菜は割高」と思い込んでいた私には、意外でした。

そこで、健康にしっかり向き合うために、予備知識として、有機野菜のぼんやりしたイメージを、整理してみたいと思います。

栽培方法は、肥料や農薬の観点から見て、次の4つに分かれます。

  1. 慣行農法
  2. 有機栽培
  3. 特別栽培
  4. 自然農法

1.慣行農法

農薬・化学肥料を使った一般的な栽培方法です。
まず、農薬についてですが、当然法律で定められた基準を満たし、登録されたものしか使えません。
販売もされていませんが。
残留農薬についても、基準が設けられています。

当然と言えば当然ですが。

でも、考えてみて下さい。

農薬が残っているから、基準があると思いませんか?

そうなんです。農薬はあるんです。

但し、それほど多くはないんです。

きちんとした計算式があるのですが、わかりにくいので、簡単に説明します。

「農薬を摂取しない場合と比べて、体の機能や成長・寿命には影響がないわけではないが、悪影響ではない」

分かりずらいですか?
つまり、「悪影響と言えないが、影響はある」という事です。

こういった量を、動物実験で求めます。

数種類の動物を使うのですが、その中でも、結果的に一番農薬に対して弱かった動物の数値が採用されます。
人間の場合、個人差を考慮して、その量をさらに(通常)100分の1で算出します。

この算出値は、1日の摂取許容量になります。

「では、毎日食べるとどうなるの?」

この基準値は、毎日摂取しても、健康に悪影響がないとする量なのです。

そして、子供や高齢者を考慮した基準値になっています。

2.有機栽培

有機野菜には、有機JAS認定のものとそうでないものがあります。
そうでないものは、そもそも有機という言葉が使えません。

でも実際は、認定されていないにもかかわらず、販売されるケースも多く、年に100件以上の行政処分が下されています。

では、JAS認定の有機野菜はどのような基準で作られているのでしょうか?

その前に、知っておいてほしいのは、

「有機栽培では、農薬も肥料も使う」という事です。

決して、無農薬ではありません。

では有機JASの基準について、簡単に列挙します。
(詳しくは、最終改正 平成29年3月27日農林水産省告示第 443号参照)

・禁止された農薬・化学肥料を2年以上使用していない
・肥料・農薬は化学的処理を行っていない(燃焼もダメなようです)
・畑・施設・用具に、農薬・化学肥料の飛散・混入がない
・遺伝子組み換えの種を使っていない
・害虫駆除を農薬に頼らない

ここで、お気付きかと思いますが、「禁止された農薬」以外は使ってもいいのです。
「有機」として使える農薬登録のある商品は、殺菌剤21種と殺菌剤28種・その他1種の計50種です。

こんなにもたくさんあるのには、少し驚きました。

実際「有機野菜」と表示するには、これらの農薬を使っていても構わないのです。
もちろん、全く農薬を使っていなくても構いません。

肥料については、化学肥料の代わりに家畜のフンを使います。
その家畜には、抗生物質やホルモン剤を投与されている場合があります。

そのフンが肥料となると、
「その堆肥は安全なのか?」
という疑問が残ります。

次に、
一度認可を受けても、毎年の調査にクリアしていかなければなりません。
その際、費用がかかってきます。

個人とグループによって差がありますが、
おおむね、初年度20~30万円。
次年度以降10~20万円。
費用に加え、毎年講習も受けなければなりません。

これらの、手間と時間をかけても、野菜が高値で売れる保証はなく、維持していくだけの収入が見込める農家は少ないのです。

この現状は、新規就農者が有機栽培に取り組む、大きな障壁にもなっています。
そんな中でも、資金繰りに苦労し、慣行農の数倍の労力をかけてでも、納得のいく野菜を作っている新規就農者もいらっしゃいます。


特別栽培

具体的には、減農薬栽培・無農薬栽培のことを指します。

その基準ですが、
JAS認定以外の農薬の使用回数が50%以下
化学肥料の窒素成分量が50%以下
となっており、土壌の残留農薬の規定はありません。

JAS認定よりもゆるい基準なのですが、その分、農家によって農薬や化学肥料の使用量は違ってきます
各農家独自の方法で栽培されているため、消費者から見るとあいまいと言えます。

しかし、JAS認定基準より少ない農薬量での栽培や、完全無農薬のところもあると言えます。


④ 自然農法

基本的には、「不耕起・無農薬・無肥料・無除草」です。

つまり、今ある環境で種をまき、雑草や虫を敵とはみなさず、自然の働きによって栽培する方法です。
但し、種をまいて目が出た時など、必要であれば草を抜きます。
その草は畑に置いておき、分解され、土に還元されます。

こうやってできた野菜は、農薬や化学肥料などを使用しないため、えぐみが出にくく、栄養分の多い皮も一緒に食べられます。

有機栽培とはずいぶん違いますね。

土を耕さず、除草せず、肥料や水やりなどもしなくても育つんですね。
有機栽培の方が、適切なタイミングで肥料をあげることで、作物の成長が早いですが、自然農法の場合、自然の循環に任せるため、「果報は寝て待て」っていう感じですね。

以前テレビで見たのですが、
南米のジャングルで、日本人のおじいさんがこの農法をされていました。
農法と言っても、雑草がぼうぼうに生えてる雑草地に、数種類の種を、手のひらで混ぜたものを、放り投げていました。
等間隔に植えるとかしないんです。
ただ、放り投げているだけなんです。

その数種類の種の中から、その時その土地にふさわしい種だけが成長し、実をつけるというのです。

最初は、地元の農家に冷ややかな目で、笑われていましたが、その農法がとても有効であることがわかるにつれ、そのおじいさんに教えてもらい、真似をしていきました。

宅配野菜業者の存在について

現状では、販売者であるスーパーが求めるものと、農家の現状はかけ離れています。

スーパーの要求は、
「安く・安定した供給量・見栄えのいい野菜」というものです。
これは消費者の意識でもありますね。

一方、農家の現状は、
「労力がかかり高値になる・害虫・病気の被害もあるため、作れる量は限られており毎日安定供給できない・虫食いなどあり見た目は均一ではない」

相反しますね。

日本の農家は、小規模なところが多く、苦労して有機野菜を作ったとしても、スーパーには置けないので、安定した流通経路を持っていません。

また、消費者からすれば、「化学的な農薬・肥料は使っていない」とうたっていても、有機JAS認定マークがなければ、「本当にそうなのか」がわかりません。

そこで、野菜専門の宅配業者が間に入るという方法があります。
生産者との信頼関係を築いた上で、販売・流通の基準を設け、ブランド化しています。
消費者はそのブランドを信頼し、安心して買うことができます。
そういう消費者は、有機栽培の理解を持ってらっしゃる方が多いので、農家も作り甲斐があります。


結論
慣行農法で作られた野菜は、法律上、安全と言える。
有機野菜は、基準が厳しい分だけ、さらに安全と言える。
その他の農法で作られた野菜も、それなりに安全と言える。

但し、
農水省としては、有機野菜が健康にいいとは言っていません。
悪いとも言っていませんが・・・。

どっちやねん?

「これらを踏まえて、各自で判断してください」としか言いようがありませんね。

法律は、徐々に厳しくなっており、より良い野菜が出回ることを期待したいものです。

本音を言うと、
法律を守るために、JAS認定時にお金を取らず、生産者の生活を維持できるような制度になっていってほしいと思います。
そうでないといつまでも、

野菜は、「JAS認定か、それ以外か」

になってしまいます(笑)

もっと当たり前に有機野菜が流通しない限り、消費者にとっては、いつまでも、お財布と相談という事になってしまいます。

有機野菜は、栄養価が高く、美味しいので、「少しでもいいものを」と考えると、有機野菜の選択は、一考に値するのだと感じます。

最後に、
冒頭の発言を撤回します。
「有機野菜は、消費者にとっては割高に見えるかもしれませんが、農家からすれば、むしろ割安なんだと」

編集後記


思ったより記事のボリュームが多くなり、
「農薬とガンとの関連性」
「無農薬野菜とアレルギーの研究」
「世界の有機栽培事情」
など、書ききれませんでした。
これらは、別の機会に書かせていただきます。

年齢とともに、健康を意識すればするほど、口に入れるものに注意を払いたいものです。

しかし、スーパーに並ぶ野菜のほとんどが、慣行農で作られたものですし、みんながそれを買っているのを見ると、心理的に「それでいい」と思ってしまいます。

深く考えないで、流されてしまっているんだと思います。

野菜の生産者のこと、日本の農業のこと、これからの日本を背負っていく子供たちの健康のこと。
そういった視点で考えると、少しでも体に優しい野菜があふれる環境づくりに、消費者として貢献できることもあるのではないかと思います。

では、また明日。

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テーマの著者 Anders Norén