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海外のお墓参り

日本のお墓参りは、お盆期間やお彼岸などに行きますね。
お墓が住まいの近くにある人は、毎月の命日前後に行かれる方もいらっしゃるようです。
宗教によって違いがあるのは、当然だと思いますが、私の周囲ではこのような感じで、お墓に参られていらっしゃる方が多いように思います。

「日本の常識は、海外の非常識」ということが、あるかも知れません。

なので、海外ではどのようなお墓参りをしているのか、見てみたいと思います。

  • アメリカ
    キリスト教信者が多く、南部を中心に、全米にいるプロテスタントが50%を占め、北部にあるルーテル教会を中心に、カトリックが25%占めており、合計で75%になります。

    彼らは、わざわざお墓に行くという習慣はありません。
    お墓も個人のお墓になります。

    その他には、イスラム教・仏教・ユダヤ教・モルモン教信者もいますが、少数派です。
    また、無宗教の人も20%ほどいるようで、食事の制限や教会に通うなどのしばりがないため、増加傾向にあるようです。

  • バリ島
    神々が住むと言われているバリでは、ヒンドゥー教信者が90%を占めています。
    カースト制度はあるのですが、インドのヒンドゥー教徒とは違い、とてもゆるいものになっています。
    4階層のうち最下層が90%を占めているのですから。
    バリのヒンドゥーは、バリ・ヒンドゥーと呼ばれ、独特の発展をしてきたようです。

    バリにも日本のお盆のようなものがあります。
    ガルンガン(迎え盆)とクニンガン(送り盆)と呼ばれ、10日間あります。
    この日は、民族衣装に身を包み、仕事場の寺や村のお寺へ参拝に行きます。

    実は、家の敷地には、「家寺」と呼ばれるお寺があります。
    彼らは、普段から毎朝お参りするのです。

    ちなみに、バリ・ヒンドゥー教には、お墓がありません。
    ご遺体は火葬か風葬(自然放置)されますが、それまでの一時保管場所として、墓地があるだけです。

  • インド
    ヒンドゥー教徒が80%占めるインドでは、バリと違い、厳しい戒律が色濃く残っています。
    彼らは、神は絶対的な存在だと信じており、仕事や恋愛、さらには自分自身よりも、信仰を優先します。

    そういう彼らは、どのような墓参りをしているのでしょう?

    インドのヒンドゥー教にもやはり、お墓がないのです。
    火葬された後、遺骨や遺灰はガンジス川に流すのです。

    インドでは、誰もが死後、ガンジス川に流されることを願っているそうです。
    流されることで、罪が洗い流され、輪廻転生を終わらせ、悟りの境地に達すると信じているからです。
    なので、インドでは、ガンジス川がお墓なのです。

    そして、熱心にご先祖様を供養する時期があります。
    日本の春・秋のお彼岸にあたる時期で、「ピトリ・パクシャ」と呼ばれています。
    ガンジス川に浸かり、ご先祖様の霊を供養するために儀式が行われます。

    お墓に浸かっているということになりますね。

    補足ですが、
    バリ島やインドのヒンドゥー教には、お墓がありませんが、インドネシア(国全体ではイスラム教徒が多いのです)やインドのイスラム教では、お墓がありますので、誤解なさらないでくださいね。

  • トルコ
    国民の95%以上がイスラム教徒と言われています。
    イスラムでは、日本のような八百万の神々が存在するのではなく、アッラーだけが神とする厳格な一神教です。
    なので、神以外の崇拝を禁止しているため、偶像‣肖像がありません。

    イスラムでは、死者の復活に体が必要とされているため、死後は火葬ではなく、土葬になります。
    火は地獄の象徴となるため、火葬はあり得ないのです。

    また、土葬時には棺はなくそのまま地下に埋めるのですが、ご遺体の顔をメッカに向けるため、イスラムのお墓は、みな同じ方向です。

    トルコにもお盆のように、必ずお墓参りをする時期があります。
    「ラマザン・バイラム」と「クルバン・バイラム」です。

    ラマザンバイラムは、断食明けの国民の祝日です。
    イスラム暦の9番目の月は断食月(ラマザン)と言い、ラマザンバイラムは、その明けなので、今年は5月24日~26日でした。

    この時期の3日間は、家族や親せき・友人と過ごし、楽しいひと時になります。
    甘いお菓子を食べ、チャイ(トルコの紅茶)を飲みながら、楽しみます。
    別名、「シュケルバイラム(砂糖祭)」と呼ばれています。

    もう一つのクルバンバイラムは、「犠牲祭」と呼ばれ、羊や牛などの動物をと殺し、神に捧げ感謝します。
    また、家族や友人たちと祝福しあい、モスクに礼拝に行きます。
    4日間行われます。
    これらは、伝統文化となっています。

  • イスラエル
    75%の人がユダヤ教徒であり、ユダヤ教徒が多数を占める唯一の国です。

    ユダヤ人は世界に散らばっているが、イスラエルとアメリカの2国で、82%を占めている。

    但し、ユダヤ系アメリカ人の中には、他の宗教に改宗されている方々も少なくない。

    ユダヤ教では亡くなると、ご遺体は棺に入れず、白い布にまかれて土葬となります。
    昔は亡くなられたその日に、埋葬されていましたが、今は、親類縁者の参列の関係上、1日・2日待つようです。

    墓地へは、病院からそのまま直行し、埋葬されます。
    お通夜・告別式のような式典はありません。
    ユダヤ教では、お墓はあります。



    お墓は、基本的には1人ひとつとなっており、ご先祖様のいる墓に、追加埋葬はしません。

    ひとつの墓標に一人しか埋葬されていないため、日本のように墓前で先祖を供養するというこがありません。
    埋葬されている人の死にだけ、向かい合います。

    日本のお盆のようなものはありませんが、彼らは毎日お祈りをします。
    朝食前・午後・日没時の3回です。

    ユダヤ教では「安息日」というものがあり、命の次に大切に守っています。
    毎週土曜日(金曜の日没から土曜の日没まで)が安息日になるのですが、あらゆる労働が禁止されます。料理もです。
    お金を稼ぐ事が禁止なのです。

    ということは、この日にはお金のやり取りをしないということです。
    例えば、金曜の夕方にお店に行き、帰る時には料金を払いません。
    支払いは、土曜の夜に改めて行くのです。
    さらには、お金のことを話題にすることさえも許されません。

    その安息日でさえ、この3回の祈りは欠かしません。

編集後記

いつも何気なしにお墓参りをしていますが、海外を見ると、宗教の違いで、お墓参りがずいぶん違ってくることに驚きます。
お墓というのは、宗教観の表れに過ぎないことも感じられます。

大きな違いとして、驚いたのは、

・お墓を作らない
・1人1個のお墓
・先祖崇拝という考えをしない

この3つです。

宗教の教えによる「死生観」が違うため、考え方が違うんですね。
やはり、「日本の常識は、海外では常識ではない」ということです。

日本も短期・長期にかかわらず、多くの外国の方が住まれています。
「郷に入れば郷に従え」というものの、慣れない日本に来て、頑張っている彼らの宗教観を理解し、尊重することは、大切だと感じます。

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テーマの著者 Anders Norén